世界が注目する「くるみ」の健康効果とは?生活習慣病の予防や不調の改善にオススメ!
くるみは中国で古くから生薬として親しまれ、欧米ではビタミン、ミネラル、抗酸化物質をバランス良く含む、ヘルシーな自然食品として高く評価されています。 世界中で理想的な食品として注目されているくるみには、どんな健康効果があるのでしょうか。 今回はくるみに含まれる栄養によってもたらされる健康効果を、日々の不調と病気に分けて説明します。
くるみの栄養素と健康について
くるみには以下のような栄養素が含まれています。
くるみ(素焼き)100gあたりの主な栄養成分
成分 | クルミ(100gあたり) |
---|---|
タンパク質 | 14.6g |
脂質(多価不飽和脂肪酸) | 68.8g(50.28g) |
炭水化物 | 11.7g |
ポリフェノール | 1.855mg |
ビタミンE | 27.5mg |
ビタミンB1 | 0.26mg |
ビタミンB6 | 0.49mg |
葉酸 | 91μg |
マグネシウム | 150mg |
カリウム | 540mg |
銅 | 1.21mg |
亜鉛 | 2.6mg |
食物繊維 | 7.5g |
【参考】国産および輸入クルミのポリフェノールとin vitro抗酸化能
他にもアルギニン、カリウム、鉄分、カルシウムなど豊富な栄養が詰まっています。
くるみに含まれる栄養素について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【参考】くるみに含まれる栄養素とは?オメガ3や抗酸化物質、ビタミンミネラルが豊富なナッツ!
くるみの健康効果~日々の不調編~
くるみを食べることで、さまざまな不調が改善すると考えられています。毎日の生活の質を上げるために、くるみを取り入れてみましょう。
貧血の予防
貧血になるとめまいや動悸、集中力低下など、体のあちこちに異常が現れます。貧血とは血液に含まれる赤血球やヘモグロビンの量が減少している状態です。くるみを食べることで、赤血球を作り出す葉酸や、ヘモグロビンを構成する鉄分、そして鉄を必要な場所に運ぶ銅を摂取することができ、貧血防止に役立ちます。
精神の安定・不眠症の改善
現代社会で溜まったストレスによって、精神が不安定になったり、夜寝付きが悪くなることで睡眠の質が低下したりするなどの弊害があります。
くるみに含まれる必須アミノ酸『トリプトファン』は、心のバランスを保つ脳内の神経伝達物質、セロトニンに変化します。セロトニンは、さらに睡眠導入の働きを持つメラトニンというホルモンに変化します。また、マグネシウムやカルシウムが神経の状態を正常に保ち、イライラを抑えます。
そのため、くるみを食べると精神の安定や不眠症の改善につながると言えるでしょう。
便秘の解消
3日以上排便がない場合や残便感がある場合は、便秘と考えられます。便秘は肌荒れや腹痛、痔などにもつながることがあります。年齢とともに便秘の割合が増えるため、注意が必要です。
くるみに含まれる不溶性食物繊維は水分を吸収して膨らむため、便通を促進します。 またくるみの油分も、スムーズな便通を助けます。
筋肉の強化
加齢に伴い、筋肉量が低下していきます。筋力が低下すると身体機能が弱まり、怪我のリスクが高まると同時に、疲れやすくなります。また、表情筋の力が弱まることで、肌のたるみが気になるようになります。筋肉量の低下は、身体全体の老化進行につながるのです。
これを防ぐためには適度な運動が不可欠ですが、効果を高めるために、運動の前後にくるみを摂取することがおすすめです。くるみに含まれる亜鉛は、筋肉をつくるタンパク質の合成を助けます。
また、くるみに含まれるアミノ酸の一種、アルギニンが成長ホルモンの合成に関わり、脂肪の代謝を助けて筋肉を強化する効果を発揮します。
疲労回復
私たちの体を動かす筋肉は酸性に弱く、運動した時に生成される乳酸が多くなると本来の機能を発揮できなくなるため、疲れや筋肉の張りとなって現れます。くるみに含まれるビタミンB1には、疲労物質の乳酸を分解する働きや、糖質をエネルギーに変える働きがあります。
くるみを食べることで、疲労回復や体力増強の効果が期待できるでしょう。
くるみの健康効果~病気編~
毎日楽しく過ごすためには健康でいることが一番です。くるみを食べることによる病気の予防効果にも注目が集まっています。
血管機能の改善
血管は全身に張り巡らされており、臓器に栄養を供給したり、細胞の老廃物を取り除いたりするなど重要な働きを担っています。血圧を正常に保ち、血液の流れをサラサラにすることは、全身の健康に直結します。
くるみには含まれているオメガ3脂肪酸は血栓をできにくくし、血管機能を改善する働きを持つことが確認されています。
【参考】α-Linolenic acid and risk of cardiovascular disease: a systematic review and meta-analysis - 米国栄養学会
動脈硬化・心血管疾患の予防
高血圧や喫煙、肥満などにより血管に刺激や圧力が加わると、血管壁が厚くなり、血液の供給が滞って心血管疾患につながる危険性が高まります。くるみから摂取できるオメガ3脂肪酸は悪玉コレステロールを低下させ、ビタミンEをはじめとした抗酸化作用によって血管に付着したコレステロールの酸化を防いで動脈硬化を防ぎます。
ビタミンEを構成する4種のトコフェロールのなかで、くるみに多く含まれるγ-トコフェロールは抗酸化作用を有していることから注目されています。
脳卒中の予防
脳卒中には、手足の力や感覚に異常を感じる脳梗塞や脳出血と、激しい頭痛を伴うくも膜下出血があり、時には命の危険を伴います。脳卒中の発症要因として、血管が詰まって脳に血液が届きにくくなる、脳の血管が破れて出血するなどの血管の異常が挙げられますます。
先述した通り、くるみを食べることで血管の状態を改善できるため、脳卒中の予防にもつながります。
がんの予防
現代人の2人に1人はがんを発症する可能性があると言われており、私たちにとって身近な病気です。完全に防ぐことはできませんが、食生活や生活習慣を見直すことによってなりにくくすることはできます。
くるみとがんの関係についてさまざまな研究機関が調査を続けており、膵臓がんや結腸がん、前立腺がんなど数種類のがん発症リスクを下げることがわかっています。
研究の結果、1日にくるみ28gを週2日以上摂取することで、がん予防の効果が期待できると判明しています。
【参考】Nut consumption and risk of pancreatic cancer in women. -ハーバード大学医学部
高血圧の予防
日本で最も有病数の多い生活習慣病は高血圧症です。高血圧患者は脳・心臓・腎臓・血管に負担がかかりやすいため、注意が必要です。
高血圧の一因として塩分の過剰摂取が挙げられます。日本人の食生活には塩分の多い食材が多く、1日に摂取する塩分量は平均で10gを超えています。
厚生労働省が提唱する摂取量の目標値は6gであるため、意識して塩分を控えることが推奨されています。厚生労働省が提唱する摂取量の目標値は6gであるため、意識して塩分を控えることが推奨されています。
【参考】平成30年 国民健康・栄養調査結果の概要 - 厚生労働省
糖尿病の予防
糖尿病とは血液中のブドウ糖が増えてしまう病気のことで、血管が傷つくことで心臓病や失明などの合併症につながる恐れもあります。くるみは糖質の含有量が低く、それでいて栄養価が高いため、糖質制限の際に効果的な栄養源として用いられます。
ハーバード公衆衛生大学院の研究によると、1日28gのくるみを週2日食べることで、2型糖尿病の発生リスクが3割程度減少することが判明しています。これはくるみに含まれる多価不飽和脂肪酸の効果だと考えられています。
【参考】Walnut consumption is associated with lower risk of type 2 diabetes in women. - Journal of Nutrition
メタボリックシンドロームの予防
内臓に脂肪がつきすぎると、肥満症や高血糖、高血圧などにつながります。運動不足や食べ過ぎなどが原因である場合が多いので、日々の生活改善が求められます。
くるみを食べると、他の食品を食べた場合よりも満腹感を司る中枢神経が活性化するという研究結果があります。満腹感を感じることで、食べ過ぎを防ぐ効果があると言えるでしょう。
また、くるみに含まれる食物繊維は消化に時間がかかるため、腹持ちがよく満足感が持続します。ただしカロリーが高い食品であるため、食べ過ぎると逆効果になる点には注意が必要です。
認知症の予防
神経細胞が壊れて判断力が低下し、認知症が進行すると、日常生活に支障が出てくるようになってしまいます。認知症にはさまざまな原因がありますが、血管性認知症は脳血管の詰まりや破れによって引き起こされます。
くるみのオメガ3脂肪酸には血管を正常に保つ効果があるため、血管性認知症を予防できます。また、一般的に年齢とともに進行する認知能力低下による「もの忘れ」も和らげる可能性が指摘されています。これは、くるみに含まれるオメガ3脂肪酸が脳の健康を保ち、認知機能をサポートする働きがあるためです。
【参考】NHANESの代表的な米国成人母集団におけるくるみの摂取と認知機能の関連に関する横断研究 - カリフォルニア大学
まとめ
健康は毎日の食生活から作られます。大切なのはくるみだけを食べることでなく、くるみを取り入れたバランスの良い食生活です。