Q1. なぜ商品を回収するのですか?
A1. 当該製品の製造工程において、日本の法律(食品衛生法)で「乾燥果実」への使用が認められていない食品添加物「安息香酸ナトリウム」が、加工助剤(製造の補助として使われるもの)の一部として使用されていたことが判明したためです。 法令で定められた基準に適合しないため、万全を期して商品を回収させていただくことといたしました。
なお、回収判断につきましては、原料供給商社の管轄の保健所に当該事象を報告の上、回収に値する事象という見解を得たうえで、食品衛生法における自主回収報告制度に則って行政への報告・回収(の準備)を進めております。
Q2. 加工助剤とはなんですか?
A2. 食品の製造・加工の際に使用される食品添加物の一種で、以下のいずれかの条件を満たすものを指します。
食品の完成前に除去されるもの
食品に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、その量を明らかに増加させるものではないもの
食品中に含まれる量が少なく、その成分による影響を当該食品に及ぼさないもの
これらの条件を満たす場合、食品添加物の表示が免除されます。
Q3. 最終製品に残らないのに回収が必要なのですか?
A3.保健所にも確認いたしました結果、加工助剤は添加物の使用され方を表す区分であって、そもそもの使用していい食品を定める食品衛生法上の使用基準では、使用すること自体を禁止されています。よって使用量の多少や最終製品への残存の有無は関係なく、違反となるという見解でした。
Q4. 「安息香酸ナトリウム」とは何ですか?
A4. 「安息香酸ナトリウム」は保存料として広く使用されている食品添加物の一種です。 カビや酵母の発生を抑える目的で、清涼飲料水やしょう油など、一部の食品への使用が国によって認められています。
Q5. 健康への影響はありますか?
A5. 健康への影響可能性は極めて少ないものと考えております。 理由といたしましては、加工助剤の構成成分の一部であり、さらに加工助剤として製造の補助としてごく微量が使用され、最終製品への残存は極めて少ないためです。また、前述の通り「安息香酸ナトリウム」は、清涼飲料水など他の食品では保存料として一般的に使用が認められているもので、輸出国である米国でも無条件に使用できるわけではなく、健康に影響がない範囲として、最終製品に0.1%以上残存しないよう管理されております。
理論上の計算では、生涯毎日300gずつ食べ続けない限り、健康に影響はございません。
<理論上の計算>
安息香酸のADI(人が生涯毎日食べ続けても安全とされる量)は、体重1kgあたり一日5mgです。
体重60kgの人の場合:5mg × 60kg = 300mg が一日の安全な上限量となります。
製品にどのくらい残存しているかは現在検査中ですが、仮に、米国の添加物としての安息香酸ナトリウムの基準上限である0.1%(1gあたり1mg)が含まれていたと仮定します。この仮定に基づくと、300mg(一日の上限量) ÷ 1mg/g(製品濃度) = 300gとなり、一日に300gのドライブルーベリーを食べると、ADIの上限に達するという計算になります。
Q6. なぜ安息香酸ナトリウムが含まれていたのですか?
A6. ドライブルーベリーの乾燥工程で、製造ラインにブルーベリーが結着するのを防止する目的で、離型剤が使用されておりました。
離型剤は、パン生地や飴などが機械や焼き型に付着するのを防ぎ、焼き上がったパンや菓子が型離れしやすくなるように使用する添加物の総称で、安息香酸ナトリウムの効能とは無縁ですが、この離型剤を保存する目的で、構成成分の一部として安息香酸ナトリウムが含まれておりました。
Q7. 安息香酸ナトリウムが含まれていた離型剤とはどのような成分ですか?
A7.構成成分は以下の通りです。
水、モノグリセリドおよびジグリセリド、ポリソルベート60、ヒマワリレシチン、酢酸、安息香酸ナトリウム
このうち、安息香酸ナトリウムは使用可能な食品が限られており、使用最大限度が定められております。
Q8. なぜドライブルーベリーには安息香酸ナトリウムが使用できないのですか?
A8. 日本の食品添加物のルールが「ポジティブリスト方式」を採用しているためです。
ポジティブリスト方式とは、「原則として全ての添加物の使用を禁止し、国が安全性を評価して使用を許可した添加物だけを、許可された食品に、定められた量だけ使用できる」という考え方で、ドライブルーベリーだけが特別に禁止されているわけではなく、国によってリスク評価され、使用が認められている食品が一部に限られていると言い換えられます。
「乾燥果実(ドライブルーベリー)」はこのリストに掲載されていないため、たとえどんなに微量であっても使用することが認められておりません。
ドライフルーツに安息香酸ナトリウムが許可されていないのは、これまでのところ、その必要性や、日本人の食生活における安全性について、国が科学的な評価を行っておらず、許可するに至っていない、ということを意味します。
Q9. 今般事故はなぜ発覚したのですか?発生原因は何ですか?
A9.輸入商社による商品仕様の確認作業において、当該製品のサプライヤー(Shoreline Fruit, LLC社)の製造工程でメーカー規格書には記載のない加工助剤(離型剤 「(製品名)AMARNAKOTE RS」)が使用されていることに気付き、調査したところ、日本では使用が認められていない「安息香酸ナトリウム」が含まれていることが判明しました。輸入商社では「添加物・加工助剤を使用していない」という趣旨の文書を入手していましたが、これは米国の法規制(GMP)の範囲内との現地側の主張であり、確認プロセスでは、加工助剤に安息香酸ナトリウムが含まれていることが表面上わからず、見過ごす結果となりました。
Q10.今後の再発防止策を教えてください。
A10. 海外の製造元(サプライヤー)の管理体制当社におけるチェック体制をこれまで以上に強化いたします。具体的には、加工助剤など、製造に使われる全ての原材料について、その成分が日本の法律に適合しているかを厳密に検証するプロセスを徹底し、再発防止に努めてまいります。
Q11.他の商品は大丈夫ですか。
A11. 現在、すべての輸入加工商品について確認を進めておりますが、当該製品のサプライヤー(Shoreline Fruit, LLC社)以外では同様、類似の事例は確認されておりません。