クルミの種類と特徴は?主流なクルミと日本・中国原産のクルミを紹介
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豊富な栄養素を含み、スーパーフードとしても注目されているクルミは、人気の高いナッツのひとつです。 そんなクルミにも、種類があることをご存知ですか? この記事では、主なクルミの種類と特徴について紹介します。 クルミの種類や特徴について知りたい人は参考にしてみてください。
市販されている主流なクルミ
一般的に市販されている主なクルミは、「ペルシアクルミ」、「テウチグルミ」、「シナノグルミ」の3種類です。それぞれのクルミの特徴を見ていきましょう。
ペルシアクルミ(セイヨウグルミ)(Juglans regia Linn.)
ペルシアクルミは、別名セイヨウグルミとも呼ばれます。世界的にメジャーなクルミで、一般的に「クルミ」というときはペルシアクルミのことを指します。
ペルシアクルミの特徴は、殻が薄くて割りやすく、果実が大きいことです。また、ペルシアクルミは約3000年前から栽培されていたと言われており、長い歴史をもっています。
原産地はヨーロッパ東南部、アジア西部とされており、日本では主に、長野県、新潟県、山形県、秋田県で栽培されています。
【参考】kurumi.pdf (japanfruit.jp)
テウチグルミ(カシグルミ)(Juglans var. orientis(Dode)Kitam.)
テウチグルミは、別名カシグルミとも呼ばれるペルシャグルミの変種とされています。そもそもペルシアグルミは栽培品が分類学上の基本になっており、野生の原産地は見つかっていないようです。orientisとは「東の」を意味しており、ペルシアグルミが東方に拡がっていくうちに変異(優良な性質の選抜)したものと考えてよさそうです。
殻が薄く「手で簡単に割れる」という特徴から、テウチグルミと呼ばれます。また、「製菓用」のクルミとしても用いられるため、カシグルミとも呼ばれています。
テウチグルミの発祥は中国とされており、日本で栽培されるようになったのは江戸時代中期からです。現在、日本では主に東北地方や長野県で栽培されています。
シナノグルミ(Juglans regia)
シナノグルミは、テウチグルミ(カシグルミ)とペルシャグルミ(セイヨウグルミ)の自然交雑種とされています。その名の通り、主に長野県(信濃)で栽培されています。主産地の東御市ではブランド化が図られています。
アメリカの主要な「ペルシアクルミ」の品種
アメリカの主要なペルシアクルミの品種は、「チャンドラー」、「ハワード」、「チュラーレ」、「ハートレー」の4品種です。それぞれの特徴を見ていきましょう。
チャンドラー
チャンドラーは、今日アメリカ・カリフォルニア州でもっとも多く栽培されている品種です。チャンドラーは、カリフォルニア大学教授、W.H.チャンドラーの名前に由来しており、1979年に同大学から品種について発表されました。チャンドラーの特徴は、大きな楕円形で、殻は薄く、色は明るいことと、風味がマイルドであることです。
ハワード
ハワードは、カリフォルニア大学が開発した品種であり、アメリカ・カリフォルニア州のクルミの生産量の上位6品種に含まれています。見た目は大きくて丸く、殻は薄めであるもののチャンドラーよりは厚く、色も明るいもののチャンドラーよりは暗いです。風味は、チャンドラーよりも自然な風味であることが特徴です。
チュラーレ
チュラーレは、1967年にカリフォルニア大学のユージン・セールとハロルド・フォーデが主導したプログラムで得られた種から作出された、比較的新しい品種です。チュラーレという品種名は、カリフォルニア州のセントラルバレーに位置する郡の名前に由来しています。チュラーレの殻は薄めであるもののチャンドラーより厚く、色は殻を剥いた直後は明るく、(ライト)その後、ライトアンバー色に変化します。風味は、チャンドラーよりも自然なクルミの風味が強いことが特徴です。
ハートレー
ハートレーは、1915年の世界博覧会にて、優れた殻付きナッツとしてブルーリボン賞を受賞したこともある殻付きクルミの代表的な品種です。ハートレーの殻は固く、色はライトカーネルであり、強い風味がある特徴をもっています。また、上部が比較的平らであるため、垂直に立てることができる唯一のクルミでもあります。
日本原産のクルミ
日本原産のクルミには、「オニグルミ」や「ヒメグルミ」などがあります。 アメリカで主流なクルミと比べて、見た目や味にどのような特徴があるのか見ていきましょう。
オニグルミ(Juglans sieboldiana Maxim. =J.ailanthifolia Carr.)
オニグルミは、表面の模様が鬼の顔に見えることからオニグルミと名づけられていますが、別名は「ダルマグルミ」や、「オグルミ」です。北海道、本州、四国、九州などに分布しています。
一般的に販売されているペルシアクルミよりも殻が非常に硬く、可食部が少ないことが特徴です。可食部は少ないですが、味はペルシアクルミやテウチグルミほど渋味がなく、クリーミーな濃厚さがあります。後述の満州胡桃J. mandschurica Maxim.と同じという見解もあります。
【参考】Juglans sieboldiana Maxim. (gbif.org)
ヒメグルミ(J. subcordiformis Dode = J.ailanthifolia Carr.)
ヒメグルミはオニグルミの変種とされていますが、変種と認めるかどうかは分類学者の見解によって異なります。北海道から九州まで幅広く分布しています。オニグルミと異なり、殻の上面が平たくツルツルしており、割りやすい特徴をもっています。味は濃厚で、ペルシアクルミやテウチグルミほど渋味がなく食べやすいと言われています。
中国原産のクルミ
中国原産のクルミには、「厚皮胡桃」や「満洲胡桃」などがあります。
満州胡桃(J. mandschurica Maxim.)
満洲胡桃は、中国東北部(満洲)一帯を主な原産地とする品種。寒さに強く、マイナス20℃の環境でも成長するといわれています。また、味は繊細な甘さを持つと言われています。
厚皮胡桃(J. sinensis Dode = J.regia)
厚皮胡桃は、中国東北部に野生する「満洲胡桃」と「薄皮胡桃」との雑種といわれていますが、ペルシアグルミだという見解もあります。その名の通り皮が厚いことが特徴です。
【参考】Juglans sinensis (C.DC.) Dode (gbif.org)
まとめ
クルミの種類や特徴について紹介しました。
なお文献ではクルミ科クルミ属の植物には約60種リストアップされていました。この60種の学名の中には他の学名に統合される学名も含まれています。
【参考】Juglans L. (worldfloraonline.org)
植物に限らず分類というものは恣意的なもので、「種」をどうみるかで見解が変わってきます。もっと少ない数、15種類という数字を挙げている資料もあります。 普段何気なく食しているクルミにさまざまな種類があることを知らなかった人も多いのではないでしょうか。
クルミに興味がある人は、珍しいクルミを食べ比べて楽しんではいかがでしょうか。