年越しそばの由来・地域ごとの特色を解説!おすすめは「くるみそば」
大晦日に欠かせない食べ物といえば、年越しそばです。 一年間を振り返り、新しい年の健康や幸せを願いながら年越しそばをいただくのが、昔からの日本の風習です。 では、そもそもなぜ年越しそばを食べる風習ができたのでしょうか。 ここでは、知っているようで知らない年越しそばの由来や地域ごとに異なる年越しそばの食べ方について改めて見ていきます。 また、今年の年越しそばにおすすめしたい「くるみそば」について、その魅力やおいしい食べ方を紹介します。
年越しそばとは?
「年越しそば」は、毎年大晦日に食べるそばのことです。年越しそばの由来については諸説あり、それによって「大晦日そば」「年取りそば」「縁切りそば」「寿命そば」「運そば」などさまざまな呼び方をされることもあります。
そばを食べるタイミングについては特に決まりがなく、大晦日のお昼や夕食時、年越しの直前など家庭によって異なります。
一般的に年越しそばを食べるときには年をまたがないほうがよいと言われていますが、地域によっては除夜の鐘が鳴り始めてから食べたり、元日に食べたりするところもあるようです。
年越しそばの由来
年越しそばを食べる風習がいつ生まれたのかということは、はっきりとわかっていません。遅くとも江戸時代中頃には、庶民の間にも広く定着していたと考えられています。
そばは古くから縁起のよい食べ物として知られており、季節の変わり目である節分や、桃の節句、端午の節句といった行事のときに食べられていたそうです。
その中でも一年の最後の日である大晦日にそばを食べる習慣が残ったのではないかと言われています。
年越しそばを食べる8つの理由
なぜ年越しそばを食べるようになったのかについては、さまざまな理由が挙げられています。
代表的なものは次の8つの説です。いずれも新しい年を迎えるにあたり、願掛けや縁起担ぎの意味が込められています。
- 長生きできるように
- 苦労や災厄を断ち切れるように
- 金が集まるように
- ソバのように丈夫に
- そばで体の中をきれいにする
- 「世直しそば」から「運そば」へ
- 無病息災
- 一年を回顧する「思案そば」
細く長くのびるそばにあやかり、寿命や家運をのばせるようにと願ってそばを食べるようになったという説はよく知られています。そこから、“太く長く生きられるように年越しにうどんを食べる”という考え方も生まれました。
そばには切れやすいという特徴もあるため、今年の苦労や災いを断ち切り、新しい気持ちで新年を迎えられるようにとの願いを込めて食べるようになったとも言われます。そのため年越しそばを「縁切りそば」「年切りそば」などと呼ぶこともあります。
その昔、金細工師が散らかった金粉を集めるときにそば粉を練ったものを使っていたそうです。そこから金が集まるようにという縁起担ぎでそばを食べるようになったという説があります。
ソバは雨風にさらされて倒れても日光を浴びれば起き上がります。新しい年を迎えるにあたり、ソバのように丈夫に、再起できるようにとの願いを込めてそばを食べるとも言われています。
江戸時代の書物『本朝食鑑』の中で、“そばは腸の働きをよくして便通を促す”といった内容が記されています。そのため、そばを食べて体の中をきれいにしてから新年を迎えようという意味も込められているそうです。
鎌倉時代、博多の承天寺で、年を越すことができない貧しい町人に「世直しそば」の名でそば餅がふるまわれました。すると次の年からみな良いことが起きたため、そばを食べる風習が生まれたとも言われています。「運そば」という呼び名の由来になっています。
関東三長者のひとりであった増渕民部という人物が、無事息災を祝って大晦日に「そばがき」(そば粉を練って作る餅)を食べたそうです。ここから年越しそばの風習が生まれたという説もあります。
年越しそばは別名「思案そば」とも呼ばれており、一年を振り返りながら食べるものだとされています。
地域別の年越しそば
年越しそばの食べ方には特別な決まりはありません。温・冷の違いのほか、味付けや具材などもさまざまです。
各家庭で親から子へと伝統の味が受け継がれています。また、地域による年越しそばの違いもあります。
関東の年越しそば
関東の年越しそばのつゆには、鰹だしと濃口しょうゆを使うのが一般的です。そのため、見た目も味もやや濃くなります。年越しそばの具材は、長寿を意味するエビの天ぷらなどが多いようです。
関西の年越しそば
関西で一般的に食べられている年越しそばには、昆布だしと薄口しょうゆ(もしくは白だし)が使われています。
関東の年越しそばに比べるとつゆの色は薄めですが、だしの風味をしっかりと感じます。
京都を中心に、具材として子孫繁栄を象徴するにしんの甘露煮をのせるのが特徴です。にしんそばは、関西のほか北海道でも食べられています。(ちなみに北海道のにしんそばのつゆは関東風です。)
年越しに名物そば
そのほか、地域ごとに特色のある年越しそばが受け継がれています。
- 岩手のわんこそば
- 福井の越前そば
- 新潟県のへぎそば
わんこそばで有名な岩手県では、年越しにもわんこそばを食べるという習慣があります。古くは、年の数だけわんこそばを食べると長生きするという言い伝えもあったそうです。
福井県では、冷たいそばに辛味大根のおろしをたっぷりと乗せた越前そばが有名です。薬味には鰹節とネギを添えます。
新潟県の年越しそばといえば、布海苔をつなぎに使い、「へぎ」と呼ばれる木の器に盛りつけたへぎそばです。
布海苔が使われていることで、普通のそばとは違うツルツルとした喉越しを楽しめます。
香川県の年越しうどん
「うどん県」としてもおなじみの香川県では、年越しにもうどんを食べることが多いようです。
沖縄県の沖縄そば
独特の食文化が息づく沖縄県では、一般的にそばといえば沖縄そばを指します。年越しにも沖縄そばを食べる家庭がほとんどだそうです。
今年の年越しはくるみそばがおすすめ
今年の年越しそばはいつもと違ったそばを楽しみたいという方におすすめなのが、くるみそばです。くるみの豊かな風味が、定番のそばにアクセントを添えてくれます。
さらにくるみにはさまざまな健康効果も期待されており、新しい一年を迎える前に食べるのにぴったりです。
くるみそばとは?
「くるみそば」とは、そば自体にくるみを使ったものではなく、くるみを入れたつゆでいただくそばのことを言います。潰したくるみを味噌や砂糖とともにつゆに混ぜ、そばを付けて食べます。ごまだれに似ていますが、それよりもさらっとしていることが特徴です。
くるみだれのこうばしい香りとまろやかな味わいはそばとの相性もよく、そば好き、くるみ好きの方々から人気があります。
そば処として有名な長野県の上田市や小諸市、埼玉県の秩父市などでは、そば屋のメニューの中にもくるみそばがあり、お店こだわりの味を楽しめます。また、自宅でくるみそばを手作りする方も増えています。
お好みに合わせてくるみの分量や潰し具合、味付けを変えて楽しむのがおすすめです。
くるみの健康効果
くるみは栄養豊富な食材として知られており、そばと一緒に食べることでさまざまな健康効果が期待できます。
くるみは、オメガ3脂肪酸という血液中のコレステロールの低下や血管機能の改善に役立つ良質な脂質を多く含みます。
ポリフェノールやメラトニンといった抗酸化物質も豊富です。また、貧血予防に役立つ葉酸や銅、鉄分、便秘解消効果が期待される不溶性食物繊維も多く含まれています。
一年の出来事を振り返り、新しい年の健康を願っていただく年越しそばだからこそ、ぜひ栄養豊富なくるみと一緒に召し上がってみてください。
【参考】世界が注目する「くるみ」の健康効果とは?生活習慣病の予防や不調の改善にオススメ!
まとめ
今年は、年越しそばの由来や地域による違いに思いを馳せながら、年越しそばを楽しんではいかがでしょうか。
いつもと違う年越しそばを楽しみたい方には、美味しくて栄養満点なくるみそばもおすすめです。