そら豆の栄養と選び方を解説!栄養を効果的に摂取する食べ方も
ホクホクとした食感と甘みが魅力のそら豆。他の豆よりもずっしりと重みがあり、おつまみやおかずなどに相性抜群です。栄養豊富なので、旬の季節にはぜひ積極的に食事に取り入れたいもの。今回は、そら豆の主な栄養素とおいしいそら豆の選び方、栄養を効果的に摂取する食べ方を紹介します。
そら豆の主な栄養素
ふっくらとした粒に栄養素が豊富に詰まったそら豆。ここでは、そら豆の主な栄養素を紹介します。
そら豆(未成熟/生)の100gあたりの栄養価は、以下のとおりです。
主な栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 102kcal |
糖質 | 12.9g |
食物繊維 | 2.6g |
たんぱく質 | 10.9g |
カリウム | 440mg |
ビタミンB群 | 2.63g |
鉄 | 2.3mg |
ここでちょっとしたマメ知識。引用しているデータベースでは、は乾燥穀物用として収穫されていれば「豆」で、青果なら「野菜」となります。なので、そら豆(未成熟/生)、大豆でも枝豆は「野菜」扱いとなります。
カロリー・糖質
そら豆(未成熟/生)100gのカロリー・糖質は以下の通り。
- カロリー 102kcal
- 糖質 13.2g
そら豆は「豆」と名前につきますが、一般的にスーパーで出回る未熟な若い豆は、野菜として食べられます。しかし、野菜類としては、そら豆のカロリーと糖質は高めです。
栄養豊富ですが、1日の摂取目安量は「30~35g(約5~6粒程度)」を目安として食べ過ぎには注意してください。
食物繊維
食物繊維には、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の2種類があります。そら豆に多く含まれるのは、不溶性食物繊維です。特にそら豆の薄皮には食物繊維が豊富に含まれており、薄皮ごと食べることで効率よく摂取できます。
不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸い込んで大きく膨らみ、便のカサを増やすことで腸を刺激して便通を促進します。また、有害物質を吸着して、便と一緒に体外に排出する働きもあります。腸がきれいになることで、大腸がんなどの病気のリスクを軽減できます。
たんぱく質
たんぱく質は炭水化物や脂質と合わせて3大栄養素と呼ばれ、筋肉や臓器、皮膚などを構成する要素として必要不可欠なものです。また、ホルモンや酵素、抗体を調節する働きもあります。
たんぱく質は「動物性たんぱく質」と「植物性たんぱく質」をバランスよく摂取することが重要と考えられており、そら豆には植物性たんぱく質が大豆ほどではありませんが含まれています。お肉や魚などの動物性食品と共に、食事に取り入れると良いでしょう。
カリウム
カリウムとは、人体に必要不可欠なミネラルの一種です。ナトリウムと共に細胞内液の浸透圧を調節して一定に保ち、身体の水分バランスを整えます。余分な塩分を排出することで、むくみの解消を期待できます。また、神経の興奮や筋肉の収縮にも関わります。
ビタミンB群
ビタミンB群は、いくつかの水溶性ビタミンからなる総称で、それぞれに助け合いながら脳や神経、皮膚などの健康を維持します。また、エネルギーを作り出す代謝をサポートする働きもあります。
そら豆にはビタミンB1、ビタミンB2が特に豊富に含まれます。ビタミンB1は「チアミン」とも呼ばれる水溶性ビタミン。糖質を代謝するためには欠かせず、疲労回復を期待できます。また、脳と神経の働きを正常に保つ役割を担います。
ビタミンB2は「リボフラビン」とも呼ばれ、主に脂質のエネルギー代謝を支える働きがあり、皮膚や粘膜の健康維持を助けます。
鉄
血液の材料となる鉄。
食品に含まれる鉄には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があり、動物性の食品にはヘム鉄が含まれ、植物性の食品には「非ヘム鉄」が含まれます。
食物性の食品であるそら豆に含まれる「非ヘム鉄」は、たんぱく質やアミノ酸、ビタミンCを含む食材と一緒に摂取すると吸収率が上がるといわれています。
そのため、肉や魚といった食事のメインとなる食品に、そら豆を副菜としてプラスしてはいかがでしょうか。
そら豆の1日摂取量目安
健康に良い栄養素を豊富に含むそら豆ですが、先述の通り食べ過ぎには注意が必要です。豆類の一日の摂取目標量は100g以上とされています。
1日3食とすると、1食あたりは約33g。しかし健康のためには、そら豆だけでなくほかの豆類に含まれる栄養もバランスよく摂取する必要があります。1日のうち1食にそら豆を組み込むとして、「30~35g(約5~6粒程度)」を目安とすると良いでしょう。
おいしいそら豆の選び方
旬になるとスーパーや八百屋にずらりと並ぶそら豆。せっかくならおいしいものを選びたいけれど、何を基準に選んだらよいか迷ってしまいますよね。そこでここでは、おいしいそら豆の選び方を紹介します。
そら豆の旬
そら豆の旬の時期は、4月~6月頃です。秋に種を植えて、初夏に収穫されます。旬の時期に並ぶそら豆はどれもおいしいですが、そら豆独特の風味をより楽しむなら6月頃に収穫されるものがおすすめです。この時期のそら豆は水分が減り、風味を強く感じられます。
色・形
さやの緑色が濃いものを選びましょう。茶色く変色している箇所があるものは鮮度が落ちている可能性が高いため、避けた方が無難です。形は、さやの外側からみて豆の大きさがくっきりとそろっているものがおすすめです。
産毛
そら豆は収穫してから時間が経ってなければ、白い産毛のようなものが生えています。時間が経つとともに産毛はとれていくため、産毛がしっかり残っているものは新鮮な証と言えるでしょう。
弾力
そら豆を触ったときにしっかりと弾力があり、手に取ると重みがあるものがおすすめです。鮮度が抜群で、水分をたっぷり含んでいるためホクホクとした食感を楽しめます。
そら豆の栄養素を効果的に摂取する方法
ここでは、そら豆の豊富な栄養素を、より効果的に摂取する方法を紹介します。調理方法や食べ方で、栄養を摂取できる量が異なるため、意識してみてください。
購入から3日以内に食べる
そら豆は、非常に鮮度の落ちやすい野菜です。鮮度が落ちるため、購入したら3日以内に食べると良いでしょう。さやごと購入することで、食べる直前まで鮮度を保てます。
調理方法
そら豆は「塩ゆで」が定番の調理法ですが、ビタミンB群は水溶性なので、茹でるとお湯に溶けだしてしまいます。茹でる場合は、栄養素が完全に抜けてしまわないように、茹で時間は3分程度を目安にしましょう。
水溶性の栄養素も余すことなく摂取するのであれば、焼く、揚げる、蒸すなどして食べましょう。
薄皮ごと食べる?
他のブログ記事では、 「そら豆の薄皮には不溶性食物繊維が豊富に含まれるため、皮ごと食べると効果的」とあります。出始めの時期は薄皮がまだ柔らかいため、薄皮ごとでもおいしく食べられるのです。
食物繊維を摂るなら理屈上は確かにそうですが、薄皮を食べるって「桜餅の桜葉を食べる」よりは「エビフライのエビのしっぽを食べる」感覚に近いですよね。関西では大粒系のそら豆が主流なので薄皮を食べる習慣はなく、地方によって、或いは品種によってのことかも知れません。そこで、日本だけでなく世界中のマメの食べ方に詳しい「べにや長谷川商店」の長谷川清美さんに訊いてみました。
「重曹で処理するおたふく豆なら分かるが…」とのことで、やはり一般的ではないようです。同じく乾燥豆を使う「フライビーンズ」、「いかり豆」では薄皮がパリパリとした食感になり食べやすくなっています。
長谷川清美さんの次の本は世界中のマメ料理の食レポで面白く、お勧めです。
【ご協力及び参考文献】長谷川清美著:『豆くう人々』農文協
まとめ
今回は、そら豆の主な栄養素とおいしいそら豆の選び方、栄養を効果的に摂取する食べ方を紹介しました。初夏の心地良い陽気と共に、店頭に並び始めるそら豆。ほっくりと甘みのあるそら豆は、茹で、焼き、揚げなどさまざまな調理法でおいしく楽しめます。健康や美容に良い栄養素が豊富に詰まっているため、旬の間に味わい尽くしましょう。