ウィンターブルーの症状と原因は?対策にはナッツと大豆が効果的
「毎年冬になるとやる気が出ない…」 「たくさん寝ているのにいつも眠気を感じる…」 このような冬特有の体調不良は、もしかしたら『ウィンターブルー』と呼ばれる病気のせいかもしれません。 ウィンターブルー対策にはナッツや大豆がおすすめです。 これらの食品には、ウィンターブルーの解消に役立つ栄養素が豊富に含まれています。 この記事では、ウィンターブルーの原因や症状、対策方法と合わせて、予防・解消のために積極的に取り入れたいナッツや大豆の効果についてご紹介します。
ウィンターブルーとは
冬になると現れる意欲低下などの体調不良には、『ウィンターブルー』と呼ばれる病気が関係していると考えられています。
ウィンターブルーは『季節性うつ病』のひとつで、寒くなり始める11月頃に発症し、3月頃になると自然と解消するというパターンを毎年繰り返すものです。『季節性感情障害(SAD)』や『冬季うつ』などと呼ばれることもあります。
ウィンターブルーは元々北欧などの緯度の高い地域の病気として知られてきましたが、最近では日本でも注目を集めるようになりました。
男性に比べて女性の方が発症しやすく、また20~30代くらいの若年層に多いと言われています。
ウィンターブルーの症状
ウィンターブルーでは、以下のように一般的なうつ病とよく似た症状が現れます。
- 気分が落ち込みやすい
- 物事を悲観的に捉えたり、自分はだめだと感じたりする
- 外出したり体を動かしたりすることが億劫になる
- 集中力が低下して、ささいなことでミスをしてしまう
- 今まで楽しめていたことに興味が持てなくなる
また、ウィンターブルー特有の症状として次のようなものが挙げられます。
- 甘いものや炭水化物をとりたくなる
- たくさん寝ているのにいつも眠い
このような症状は“気のせい”や“怠けている”などと見過ごされることも多いものです。
そのためウィンターブルーを発症していても自覚していない方が実際には多くいるのではないかと言われています。
原因はセロトニン不足
ウィンターブルーには、冬の日照時間の短さによる『セロトニン』の減少が大きく関係していると考えられています。“幸せホルモン”とも呼ばれるセロトニンは、脳の神経伝達物質のひとつで、私たちの感情をコントロールしているものです。
セロトニンが十分に分泌されているときは、精神が安定することに加え、脳の働きが活発になって作業量もアップします。一方、分泌量が低下すると、不安やイライラを感じることが増えると言われています。
セロトニンを効率よく分泌させるためには、太陽の光が必要です。冬は夏に比べて日照時間が短く、室内にこもりがちになるため、セロトニンの分泌量が低下してウィンターブルーを発症しやすくなると考えられています。
また、“睡眠ホルモン”と呼ばれるメラトニンの生成にもセロトニンが必要です。ウィンターブルーによって眠気を感じたり、意欲が低下したりするのは、セロトニンの減少に伴うメラトニンの分泌低下が原因と言われています。
ウィンターブルー対策
ウィンターブルーの症状がひどく日常生活にも支障をきたすような場合は、医療機関で治療してもらう必要があります。それほど症状が重くない場合には、自宅でできる対策から始めてみましょう。
具体的には次のような対策方法があります。
日光を浴びる
セロトニンの分泌を促進するために、冬でも積極的に日光を浴びることがおすすめです。 特に、起きたらまずカーテンを開けて朝日を浴びることが大切だと言われています。 冬は寒くてなかなか外に出かけられないという方も多いかもしれませんが、天気のよい日はなるべく散歩に出るなどして直接太陽の光を浴びましょう。
太陽の光を浴びることが難しいときには、照明を浴びるだけでも一定の効果が期待できます。暗い気分を変えるためにも、よりお部屋の照明を明るめのものに変えてみてはいかがしょうか。医療機関では、より強い光を30分~1時間程浴びる高照度光療法が行われることもあります。
睡眠リズムを整える
ウィンターブルーを予防するためには、メラトニンの減少による睡眠リズムの乱れを解消することも大切です。ウィンターブルーにかかっているときは朝起きるのが辛く感じられますが、眠くても早起きをして体内時計を整えましょう。
良質な睡眠を取るための工夫をすることもおすすめです。たとえば就寝前にスマホやパソコンを見ると、脳が覚醒して深い眠りが妨げられてしまいます。
昼間にしっかりと光を浴びたら、夜は部屋を暗くしてゆったりと眠りにつける環境を整えるようにしてください。好みのアロマオイルを嗅いだり、ぬるめのお風呂に浸かったりすると、気分がリラックスして質のよい睡眠を得られやすいと言われています。
運動する
ウィンターブルー対策には運動も効果的です。特に、ウォーキングやダンス、ヨガなど、呼吸をしながら一定のリズムで行う運動がセロトニンを活性化することがわかっています。
リズム運動は毎日20分ほど継続して行うことがおすすめです。夜でも構いませんが、太陽の光を浴びながら運動を行うことでより高い効果が期待できます。運動が難しい方は、食事をする際にリズムよく咀嚼(そしゃく)することでもセロトニンの分泌を促進できると言われています。
セロトニンを作る栄養素を摂取する
セロトニンを増やしてウィンターブルーを予防するためには、次のような栄養素を積極的に摂取することがおすすめです。
- トリプトファン
- ビタミンB6
- 炭水化物
トリプトファンは、セロトニンの元となる栄養素です。トリプトファンを多く含む食品としては、魚や肉、乳製品、大豆製品、ナッツ類などが知られています。
トリプトファンからセロトニンを合成される際に必要な栄養素がビタミンB6です。カツオやマグロ、バナナ、ナッツや大豆に多く含まれています。
炭水化物もトリプトファンがセロトニンを合成する際に欠かせない栄養素のひとつです。ウィンターブルーの際に炭水化物をとりたくなるのはこれが原因ではないかと考えられています。
ダイエットのために炭水化物を制限している方は、セロトニンの減少に注意が必要です。一方で、炭水化物のとりすぎは肥満や糖尿病のリスクを高めるため、トリプトファンやビタミンB6と合わせて上手に摂取するのがおすすめです。
ウィンターブルーにはナッツや大豆が効果的
ウィンターブルー対策のためにぜひおすすめしたい食べ物が、ナッツや大豆です。これらには、セロトニンの合成に必要なトリプトファンやビタミンB6が豊富に含まれています。
ここでは、大豆や各種のナッツに含まれるトリプトファンとビタミンB6の量を解説します。
トリプトファン
セロトニンの材料になるトリプトファンは、ウィンターブルー対策のために積極的にとりたい栄養素です。
必須アミノ酸であるトリプトファンは体内では合成することができないため、日々の食事から摂取することが大切だと言われます。大豆やナッツはトリプトファンを多く含む食品として知られており、手軽にウィンターブルー対策に役立てていただけます。また、歯ごたえのある大豆やナッツをしっかりと咀嚼(そしゃく)することもセロトニンの分泌を高めることに効果的です。
<大豆と各種ナッツのトリプトファン含有量>
食品名 | 100gあたりのトリプトファン含有量 |
---|---|
いり大豆(黄大豆) | 550mg |
カシューナッツ(フライ、味付け) | 360mg |
ピスタチオ(いり、味付け) | 270mg |
らっかせい(乾、大粒種) | 270mg |
アーモンド(いり、無塩) | 220mg |
くるみ(いり) | 200mg |
ピーカンナッツ(フライ、味付け) | 97mg |
マカダミアナッツ(いり、味付け) | 96mg |
【参考】食品成分データベース-文部科学省
ビタミンB6
どんなにトリプトファンを摂取していても、それだけでは脳内のセロトニンの量を増やすのは難しいと言われています。
セロトニンが脳内に取り込まれる際に必要となるのが、ビタミンB6 です。トリプトファンを摂取する際には、ビタミンB6を含む食品を一緒にとることが大切です。
大豆やナッツはトリプトファンに加えてビタミンB6も豊富に含んでいるため、脳内のセロトニンを増やしてウィンターブルーを予防する効果が期待できます。
<大豆と各種ナッツのビタミンB6含有量>
食品名 | 100gあたりのビタミンB6含有量 |
---|---|
いり大豆(黄大豆) | 0.39mg |
ピスタチオ(いり、味付け) | 1.22mg |
らっかせい(乾、大粒種) | 0.49mg |
くるみ(いり) | 0.49mg |
ピーカンナッツ(フライ、味付け) | 0.19mg |
カシューナッツ(フライ、味付け) | 0.36mg |
マカダミアナッツ(いり、味付け) | 0.21mg |
アーモンド(いり、無塩) | 0.08mg |
まとめ
ウィンターブルー対策には、日光を浴びることや運動することに加えて、大豆やナッツが効果的であることを解説しました。これらの食品には、“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンを増やすために欠かせない栄養素が豊富に含まれています。
ぜひ積極的に摂取して、気持ちが落ち込みがちな冬を元気に過ごしましょう。