デーツ(ナツメヤシの実)に含まれる栄養成分とは?プルーンとの比較や効果も解説
デーツとはナツメヤシの実のことで、近年日本でも人気が高まり、スーパーやドラッグストアなどでドライフルーツとして手に入れやすくなってきました。 甘くて美味しいだけでなく、デーツは身体に大切な栄養素がぎっしり含まれており、特に妊娠中の方やダイエット中の方におすすめです。 この記事では、砂漠を渡るキャラバンの主食であったというほど栄養豊富なデーツに含まれる成分について解説します。
デーツとは
デーツは、楕円形をしたヤシ科の果物です。 ナツメに似ていることから日本ではナツメヤシと呼ばれます。未熟なデーツはリンゴのようなサクッとした食感でほのかに甘く、熟すとトロッと柔らかくなって甘味が増します。
日本で一般に販売されているのは、熟したデーツを乾燥させたものです。干し柿のようなねっとりした食感と、自然のキャンディと呼ばれるほど強い甘みが特徴です。他のドライフルーツより味にクセがなく、料理のバリエーションが豊富であることも魅力に挙げられます。
デーツはアラブ諸国や北アフリカまでの広い地域で古くから常食され、現在は主に中東で生産されています。雨の少ない土地でも育ち、長期保存ができてミネラルも豊富であるため、乾燥地帯に住む人々の大切な食料です。
デーツに含まれる栄養素
デーツには主に以下のような栄養素が含まれています。
ナツメヤシ/デーツ(乾)の栄養素
種類 | 100gあたり | 1粒(20g)あたり |
---|---|---|
エネルギー | 266kcal | 53.2kcal |
タンパク質 | 2.2g | 0.44g |
脂質 | 0.2g | 0.04g |
炭水化物 | 71.3g | 14.26g |
食物繊維 | 7.0g | 1.4g |
鉄 | 0.8mg | 0.16mg |
カリウム | 550mg | 110mg |
マグネシウム | 60mg | 12mg |
カルシウム | 71mg | 14.2mg |
リン | 58mg | 11.6mg |
亜鉛 | 0.4mg | 0.08mg |
銅 | 0.4mg | 0.08mg |
(100g=5粒程度)
デーツは食物繊維やミネラルが豊富で、乾燥させて日数が経っても効果が失われない点が魅力です。各栄養素について以下の項目で説明します。
食物繊維
デーツに含まれる食物繊維の8割は不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は水分を吸収して便の容積を増やし、便秘改善に役立ちます。 また、ビフィズス菌などの善玉菌の餌となり、腸内環境を改善します。
鉄
鉄分は、血液中の赤血球を作るのに必要な栄養素です。赤血球が十分作られ、身体の隅々まで酸素が行き渡ることで、代謝の向上や疲労回復にもつながります。
デーツに含まれている鉄分は、茹でたほうれんそうに含まれる鉄分(100gあたり0.9mg)に匹敵します。成人女性の5人に1人は鉄欠乏のため貧血になると言われており、貧血予防のために積極的にデーツを摂取することをおすすめします。
銅
銅は、ヘモグロビンを構成する鉄分を必要な場所に運ぶ栄養素で、貧血防止に役立ちます。また、人体の老化に関わる活性酸素を除去したり、骨を強くするのを助けたりする役割も持っています。
カリウム
カリウムは、過剰摂取した塩分の排出を助けて血圧上昇を抑え、動脈硬化を予防します。また、塩分量が適正になることで細胞の水分バランスが整うので、むくみ改善の効果が期待できます。ただし、カリウムを多く含む食材には体を冷やす作用があるため、摂り過ぎに注意しましょう。
カルシウム
カルシウムは体内に最も多く存在するミネラルで、年齢とともに体内で維持される量が減少します。骨や歯を構成する成分であるため、骨粗しょう症予防のために積極的に摂取したい栄養素です。また、細胞や筋肉の働きを助けるほか、神経興奮を抑制してイライラを沈める作用もあります。
リン
リンはカルシウムやマグネシウムと同様に、歯や骨を構成する成分です。同時に細胞膜やDNAなど、生体にとって重要な成分の構成要素でもあります。リンの働きは、血液が酸性やアルカリ性に傾くのを防ぐことや、ビタミンB群と結合して糖質の代謝を促すことなど、多岐にわたります。
亜鉛
亜鉛は多くの臓器に必要とされる栄養素で、数百種もの酵素の構成要素となります。新しい細胞を作り出す際に必須となるミネラルであるため、特に妊娠中の方はきちんと摂取することが推奨されています。
また、免疫細胞を活性化させる働きがあり、さまざまな病気に対する免疫がアップします。花粉症や喘息などアレルギーの抑制にも効果があると考えられています。
デーツとプルーンの栄養成分比較
デーツは、プルーンと見た目がよく似ています。見た目だけでなく栄養素も似ており、エネルギーやたんぱく質、脂質の量などはほとんど同じです。
プルーンは健康食品として名高い食材ですが、デーツの栄養素もプルーンに劣らず豊富で、プルーンの含有量を上回る栄養素もあります。例えば、カルシウムはプルーンの1.8倍です。
デーツとプルーン(乾)100gの栄養素
種類 | デーツ100g | プルーン100g |
---|---|---|
エネルギー | 286kcal | 235kcal |
タンパク質 | 2.2g | 2.5g |
脂質 | 0.2g | 0.2g |
炭水化物 | 71.3g | 62.4g |
食物繊維 | 7.0g | 7.2g |
鉄 | 0.8g | 1.0g |
カリウム | 550mg | 480mg |
マグネシウム | 60mg | 40mg |
カルシウム | 71mg | 39mg |
リン | 58mg | 45mg |
亜鉛 | 0.4mg | 0.5mg |
銅 | 0.4mg | 0.3mg |
デーツに期待できる嬉しい効果・効能
デーツに豊富に含まれるミネラル類は、身体を構成するために必須の成分です。デーツを食べてその栄養を取り込むことによって、以下のような効果が期待されます。
- 便秘の改善
- 心血管疾患の予防
- 貧血予防
- 骨粗しょう症予防
- ストレス改善
デーツはこんな人にオススメ
デーツを特におすすめしたいのは、妊娠中の方と、ダイエット中の方です。妊娠中は、胎児が成長するにつれて必要な血液量も増えていき、妊婦さんは貧血になりがちです。そのため、鉄分の補給が必要です。
また、便秘やむくみも妊娠中に多い悩みですが、鉄分や食物繊維やカリウムがたっぷり含まれたデーツは、妊娠中に不足しがちな栄養素を補ってくれます。妊婦さんは1日1粒デーツを食べることを推奨します。
ダイエット中に甘いものが食べたくなったとき、デーツが重宝されます。デーツは甘みの強い食材で満足度が高いです。
また食物繊維と合わせて摂取できるため、血糖値の上昇が緩やかな低GI食品であるという特徴があります。血糖値が急激に上がらなければ脂肪生成を促進する物質が分泌されづらいです。もちろん一度に大量に食べれば、血糖値は急上昇してしまいますし、糖質を取り過ぎればエネルギーとして消費しきれず脂肪として蓄積してしまうため、食べ過ぎは禁物です。
脂質が少ない点も、ダイエットの際には嬉しいポイントと言えるでしょう。
まとめ
日本ではまだ馴染みのない方もいるデーツですが、中近東では代表的なフルーツとして毎日のように食べられている果物です。そのような異国情緒に思いを馳せられるのも、海外のフルーツを食べる楽しさですね。
甘さが強すぎると感じる方は、くるみやアーモンドなどのナッツ類と合わせると食べやすくなります。 不足しがちなミネラルなどの栄養素を補うために、おやつにデーツを食べることを習慣づけてみてはいかがでしょうか。